ママだって旅にでる



私の趣味のひとつに旅行がある。
独身時代は、美術、建築、演劇、バレエ、オペラなどあらゆるアートシーンに興味があり、本物がみてみたいとヨーロッパを飛び回っていた。だれからの援助もなく自分の貯金で旅に出るため、旅はなかなかの貧乏旅行になってしまうが、その日の食事がパン一切れだけのときがあっても、ひもじいと感じることはなく、自分のアンテナに引っかかるところは、国内外関係なく観に出かけていた。事前に宿も目的地もほとんど決めず、自分の行きたい所に動き回るため、一人旅がほとんどだった。

そんなこんなで、20代半ばからの数年は定住先はほとんどなく、スーツケース1個が私の全財産だった。この旅人生活数年の中で、訪れた国は15ヵ国。気に入った場所は、何度も通ったため、のべ数を数えると、今となっては30ヵ国は超えているんじゃないかと思う。

こんなにも旅が大好きだったのに、結婚後はピタッと旅に出なくなってしまった。

日本への帰国は毎年行くけれど、それはわたしにとって旅ではない。その他といえば、近場であるボストンやニューヨークに行ったくらいだ。

その後子供も産まれ、夫や息子を置いてまで一人旅にでるという発想はなく、それでも子供の赤ちゃん時期がすぎると、すこしずつ気持ちに余裕が生まれ、むくむくと久しぶりにどこかに行きたくなってきたのだ。

「どこか旅に行きたいなぁ」そんな言葉をこぼしたとき。こちらの義理家族や友人から言われた言葉は「いいアイデアじゃない!行ってきなよ!」という返答。「え、あ。でも子供まだ小さいし。。」とうろたえる私に「そんな1週間くらいママがいなくても平気だよ。パパもいるし!どこに行きたいの?」

そうか行ってもいいのか。
なんだか拍子抜けした気分だった。子供が生まれてからというもの、一緒に過ごさなかった夜はない。それは当たり前ことであり、母になったからには人生とはそういうもので、子供が大きくなるまでは、すべては子供優先で我慢するものだと思っていたのだ。

でもそんなことはないらしい。

そうと知ってからは、気持ちが少し軽くなり、どこへ行こうかと考えたり、でもやっぱり家族一緒の方が楽しいかなと家族に依存してるのは意外にも自分かもしれないと気づいたり、なんだか小さなわくわくが日常にプラスされた。

ママだって旅にでていいのだ。

これまでずっとママと一緒に夜を過ごした我が子にとって、ママのいない夜は少し寂しいかもしれない。でも、パパだけと過ごす初めての夜は、もしかしたら子供にとってかなり思い出深い楽しい経験になるのかもしれないとも想像する。


わたしの一人旅再開記念日はまだ未定だが、その日が来るのがいまから待ち遠しい。

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