マルチリンガルの頭の中



私が住んでいる土地は、バイリンガルの街。英語とフランス語があらゆるところで混ざり合いながら聞こえてくる。
英語・フランス語のどちらで話すのか、それともどちらかしか話せないのかはわからないけど、頑なに1言語しか話さない人もいれば、一つの文章に英語とフランス語を混ぜて話す人もいる。

初めはこの状況にとても戸惑った。こちらが英語で話しかければフランス語で返され、それならばとフランス語に切り替えると、なぜか今度は英語で返される。どっちやねん!と思いながら、相手がコロコロと変える言語に、一緒になって変えてるものだから脳の疲労感は半端ない。

そんな状況に疲れてきたころ、もう相手に合わせるのは止めようと腹をくくり、相手が何語で話して来ても、 1言語を貫こうと自分なりでルールを決めた。そして、交わされた会話は、相手がフランス語で話し、私が英語で話すというやり取り。

(。。。成立してる。会話、成立してるよ。)

この状況がなんともいえず可笑しかった。

相手にとっては、英語もフランス語もたんなる言葉であって、その両方が話せるバイリンガルの人からすれば、二つの言語に境目はない。文法も単語も表現方法も違いはたくさんあるのに、それらは頭の中の同じ部屋にすべて納まっているのだ。

私の頭の中には、英語の部屋とフランス語の部屋と日本語の部屋があって、話す相手によっていちいちそれぞれの部屋を行き来していた。しかし、あるときから英語とフランス語の部屋に関しては、ほぼ境目がなくなったように感じる。

そしてこの境目がなくなってからは、会話をするのがぐんと楽になった。

私には2歳を迎えた子どもがいる。彼が意味のある言葉を発しはじめてからは、まだ一年も経っていない。それなのに、パパと話す時はフランス語、ママと話す時は日本語、そしてなぜだか一人遊びの時には英語も話すようになってきている。

日に日に言葉のボキャブラリーが増えるマルチリンガルの彼の頭の中は、きっと言語の部屋が一つだけなのだろう。そして彼にとっては、フランス語・英語そして日本語さえも単なる言葉として認識されているに違いない。

語彙の違いといえど、すでに私の知らない単語を発するようになった彼の成長を見ながら、「ああ、わたしが頭痛と戦いながら必死に勉強した英語やフランス語は、ものの数年でさらりと追い越されてしまうのだろうな」と思うのである。

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